LEDで育毛できる?!副作用がなく効果の高い育毛、発毛の新しい治療法「赤色LED」とは
長寿命で消費電力が低いことで一般家庭やオフィスなどで普及が加速しているLED電球。
実は、このLEDが育毛に効果があるということがレーザー育毛器の原理に着想を得た大阪大学の研究でわかってきました。
LEDで本当に育毛出来るのか調査しましたので、ご紹介します。
LEDとは
LED(発光ダイオード)とは、電圧をかけた時に発行する半導体の素子で、1962年に発明されました。
当時は赤色LEDのみで、1972年に黄色LEDが、1990年代初めに赤崎氏、天野氏、中村氏によって青色LEDが発明されました。
青色LEDが発明されたことにより、光の三原色が揃いディスプレイを中心に自動車、信号機、テレビ、イルミネーションなど幅広い分野の発展に広く貢献しています。
青色LEDは、ノーベル賞を受賞したので、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
LEDは、蛍光灯の4倍という寿命の長さと白熱電球の10分の1という消費電力の少なさで、発熱をあまりしないという特徴を持っています。
二酸化酸素の排出量も少ない上に、水銀も使われていないので環境にも優しいのですが、価格がまだ高めなのがデメリットと言えるでしょう。
2015年の11月頃に、2020年を目途に蛍光灯や白熱電球の製造を中止するという方針を政府が示したと報道があって、買い替え需要が増えたり、今までの照明器具が使えなくなると不安になる人が続出したこともありました。
しかし、ある報道機関が早まって報道しただけの誤報で、経済産業省や日本照明工業会のホームページでは蛍光灯や白熱電球の製造を禁止していない旨の声明を発表しています。
LEDに育毛効果はあるのか?
LEDの光には植物の成長を促進させる作用があると以前から言われているため植物の栽培に使われたり、さまざまな研究が進められています。
皮膚科の専門医が研究を重ねた結果、LEDの色の違いによって異なる効能があることがわかりました。
青色LEDには殺菌効果や活性酸素の除去作用があり、ニキビの原因であるアクネ菌を殺菌したり活性酸素を除去することで、ニキビ治療に効果があることがわかっています。
また、青色LEDには歯をホワイトニングする効果があることもわかっています。
赤色LEDには免疫細胞の働きの一部を促進させる力があるので、炎症による赤みを抑える効果でニキビ治療に効果があることがわかっています。
緑色LEDには肌を再生する効果があり、しみなどの色素沈着を薄くしたり、傷跡やニキビ跡を薄くする効果があります。
このように、LEDの色による効果の違いとレーザー育毛器の効果に着想を得て、LEDの育毛効果の研究が行われるようになりました。
レーザー育毛器とは、低出力レーザーを頭皮に照射することで発毛、育毛を促す機器のことです。
アメリカで2007年にFDA(アメリカ食品医薬品局)が、レーザー育毛器を他の育毛、発毛用医薬品と同じように治験や検証を行なって、レーザー育毛器に育毛、発毛効果があると認めたところから一気に普及しました。
日本では、育毛サロンなどでレーザーを照射してもらうイメージがありましたが、正規輸入代理店が出来てレーザー育毛器を日本で入手することが出来るようになっています。
FDAの承認を受けているヘアマックスなどの家庭用レーザー育毛器が人気のようです。
こうしたレーザー育毛器の育毛、発毛効果のFDAの発表を受け、LEDの研究が行われるようになりましたが、日本では大阪大学が研究を進め、赤色LEDにはコラーゲンを増やしたり、エラスチン繊維を強化したり、毛乳頭に働きかけて毛母細胞の分裂を促進させて育毛に効果があると研究結果を発表しました。
大阪大学の赤色LEDの研究
出典:アデランス
大阪大学の赤色LEDの研究は、2008年の日本美容皮膚科学会で講演を聞いた大阪大学大学院医学系研究科の乾重樹准教授が講演をしていた美容クリニックの小笠原正弘先生と共同で始めました。
もともと皮膚科の分野では光を使う治療は一般的で、紫外線や高出力レーザー、低出力レーザーも治療に使われていました。
LEDも使われ始めていて、傷を治したり、皮膚の色素沈着を取り除いたりする分野で一定の効果があると認められていました。
講演では、小笠原先生が臨床データを基に毛髪に応用して効果は出たが、効果が出るメカニズムがわからないということで共同研究になったようです。
実験を始めるときから、毛髪の成長に重要な働きをする毛乳頭細胞に働きかけるため、皮膚の奥深くにまで届く波長の長い赤色LEDを使用したとのことです。
ただ、家庭用のLED照明はいろんな色が干渉しあうため、赤色だけを取り出せるような装置を使ったナローバンド赤色LEDで実験を進めています。
最初の実験では、ヘアサイクルが休止しているマウスを使って毛を剃り、赤色LEDを照射するグループと照射しないグループに分け、照射するグループは週に3回ほど照射したそうです。
2週間は変化がなかったのですが、それを過ぎるころから照射したグループには毛を剃った部分の3分の1くらいに毛が生えてきて、照射していないグループは剃られたままという違いが出たそうです。
その後、培養ヒト毛乳頭細胞に赤色LEDを照射して毛髪の成長に影響を与える増殖因子が増えているかどうかを調べ、HGF、Leptin、VEGF-Aといった物質の濃度が上がっていることから、赤色LEDは毛乳頭からの増殖因子の分泌を促進し、毛髪の成長に影響を与えていると考えられているようです。
プロペシアやミノキシジルなどの医薬品の代わりになるほどの効果はまだないので、併用することで効果が高まると言われています。
また、紫外線やレーザー照射器と違い、日焼けや火傷の心配がなく、装置も簡単に作れるそうなので、今後は小型のナローバンド赤色LEDの家庭用照射器も出てくるのではないかとのことです。
NHKの番組でも紹介されていました。
美容クリニックの赤色LEDの研究
出典:アデランス
大阪大学と共同研究している美容クリニックの小笠原先生は、LEDの光を面で照射することを研究されています。
レーザー治療がピンポイントで効果を出していくことから、もっと効率よく広い範囲に効果を出すためにはどうしたらというところから10年以上の構想と研究を続けられていたようです。
光に関する専門の会社に製作してもらった超狭帯域赤色LEDの照射装置を使って、男性モニター10人の頭皮に1回20分間、週に1回~3回、3カ月~8カ月行なったところ、2名がほぼ薄毛を克服、7名がかなり発毛、1名が発毛したとのことで、全員に発毛効果があったようです。
小笠原先生は毛乳頭細胞だけでなく、赤色LEDの光がすべての細胞を活性化させている可能性があって、さまざまな細胞が関係して、最終的に抜け毛が減り、毛が生えてきていると考えています。
この赤色LEDの他にも、緑色LEDや青色LEDの研究も進められていて、肌を健康に若く保つ効果があるため、発毛、育毛と美肌を両立出来る、超狭帯域LED照射の家庭用装置の開発や研究結果の発表などを目指して、大阪大学だけではなく、京都大学工学部、高知大学医学部皮膚科と研究を続けられています。
まとめ
赤色LEDに育毛、発毛効果があることをご紹介しましたが、家庭用機器の発売が待ち遠しいと感じます。
LEDには副作用の心配も無く、肌を痛めることもありませんので、もっと育毛、発毛効果を高められるLEDが開発されたら、うれしいですね。
NHKの番組でも紹介されていましたが、赤色LEDを使った育毛サロンもあるようですので、気になる方は足を運んでみてはいかがでしょうか。