AGAの治療薬として処方され、効果が高いと言われているミノキシジル。
厚生労働省から認可されているAGA治療薬である2種類のうちのひとつであるミノキシジルですが、効果の高さとともにインターネットでは副作用が多数報告されています。
ミノキシジルとはどんな薬なのか、どういう効果があるのか、副作用を気にせず安心して使えるのかをご紹介します。
この記事の目次
ミノキシジルとは
出典:大正製薬
ミノキシジルとは、ファイザー(旧:アップジョン社)が研究・開発した主に患部に塗るタイプのAGA治療薬です。
ミノキシジルは、もともとは高血圧を治療するための血管拡張効果を持った飲む薬として販売されていました。
ミノキシジルを処方されていた患者に髪の毛を発毛させ、薄毛を改善する効果が発見されたため、AGA治療の研究が進められ、1980年代にAGA治療薬としてミノキシジルを2%含有した「ロゲイン」が世界で初めてのAGA治療薬として販売されました。
ロゲインは患部に塗るタイプのAGA治療薬だったのですが、飲むタイプのミノキシジルは副作用が認められたため、患部に塗る液体状の外用薬としてだけ販売されることになりました。
現在では、飲むタイプのミノキシジルである「ロニテン」などが「ミノキシジルタブレット」として複数販売されるようになっていますが、日本では認可されていないため、医療機関の診察を受けるなどの通常の方法では入手することは出来ません。
日本では、ミノキシジルの医療用医薬品は未発売となっていますが、1999年に大正製薬が一般用医薬品としてミノキシジルを1%含有した「リアップ」を発売しています。
最近では、日本のAGA専門の医療機関でもミノキシジルを処方するところが増えていますが、効果を高めるため副作用に気をつけながら市販薬などよりも濃度の濃いミノキシジルを処方しています。
ただ、ミノキシジルを服用すると効果の高まりとともに副作用も強く出ることが多いので、安全のために塗るタイプの外用薬が主流となっています。
ミノキシジルの効果
ミノキシジルは、血管を拡張する効果で血行を促進する効果と、ミノキシジルの成分が直接毛母細胞に働きかけ、細胞分裂を活性化させ、髪の毛の成長を早める働きを持っています。
ミノキシジルが毛母細胞を活性化することで、発毛を促すということと、血管を拡張し血行を促進することで、髪の毛の成長に必要な酸素や栄養素が頭皮や毛母へ届きやすくなるということで、現在のところ唯一「発毛」の効果が認められたAGA治療薬と言うことです。
髪の毛が新しく生えたり、成長するためのメカニズムは、髪の毛の根本に毛球というふくらんだ部分の中に毛母細胞が存在していて、毛母細胞が細胞分裂を繰り返して増えたり、成長したりすることで、髪の毛が生まれ、成長していくという仕組みになっています。
そのため、毛母細胞の細胞分裂が正常に行なわれなかったり、弱っていたりすると、髪の毛が成長しなかったり、弱く細く抜けやすい髪の毛になったり、成長の途中で髪の毛が抜けたりするのです。
毛母細胞を健康に保ち、細胞分裂を活発に行わせるためには、酸素や栄養素が必要になりますが、血液に乗って酸素と栄養素が運ばれて来ます。
血液に乗って運ばれてきた酸素と栄養素をちゃんと受け取るために、毛母細胞に包まれた毛乳頭と、毛乳頭につながっている毛細血管が詰まることなく、健康でいてくれる必要があるのです。
頭皮が固くなったり、生活習慣が乱れて血行が悪くなっていると、毛細血管に血液が行き届かなくなり、血管自体が傷ついたり、老化したりして、血液が流れなくなるゴースト血管と呼ばれる死んだ血管になってしまうこともあります。
ゴースト血管が頭皮に増えてしまうと、毛乳頭に血液が行き届かなくなるので、毛母細胞の働きも低下してしまうことになり、薄毛が進行してしまうのです。
ミノキシジルの効果によって、血管が拡張され、血行が良くなると、毛細血管にも血液が十分行き届くようになるため、ゴースト血管も減り、毛乳頭にも血液が行き渡り、毛母細胞の働きも活性化されていき、健康な髪の毛が生えたり、成長したりすることで薄毛が改善されていくのです。
ミノキシジルの副作用と注意点
ミノキシジルは「発毛」というAGA治療薬としては効果に期待してしまいますが、インターネットでは多数の副作用が報告されているという側面もあります。
ミノキシジルの副作用と注意点をそれぞれ見て行きましょう。
ミノキシジルの副作用
ミノキシジルを使用することによる副作用は、以下のことが公表されています。
- 塗布した場所の、かゆみやかぶれ
- 頭痛
- めまい
- 多毛症
- 不整脈
- 動悸
- 霞み目
- 手、足、顔のしびれや痛み
- 性欲減退
- 胸の痛み
- 急速な体重増加
- 手や足、顔のむくみ
など。
その他にも、治験中に循環器系疾患による死亡例が数件(ロゲインで3件、リアップで3件)あるようですが、メーカー側はミノキシジルとの関連性は不明という姿勢を貫いています。
リアップの購入は、その後の法律改正もあって既往症のチェックなどを強化したようですが、AGA治療のためにミノキシジルを使うなら、医療機関の診察は必須です。
抜け毛が止まらない場合も多い
ミノキシジルを使用していても、抜け毛が減っていかない場合も多いようです。
男性ホルモンであるテストステロンと還元酵素である5αリダクターゼが結びつくことで生成されるジヒドロテストステロン(DHT)によって、脱毛スイッチがオンになっているAGAの場合に抜け毛が減らないようです。
ミノキシジルは、血行促進作用による発毛効果なので、抜け毛を増やす原因である男性ホルモンや5αリダクターゼが野放しになったままで、どんどん抜け毛を増やしていくからです。
医療機関の診察は必須ですが、抜け毛を止めるためのAGA治療薬「フィナステリド」とミノキシジルを併用することで、抜け毛を止めて、発毛を促すことが可能になります。
AGA専門の医療機関では、体質や既往症に問題がない限り、フィナステリドとミノキシジルの併用をすることでAGAの治療を進めていくことが多いようです。
ミノキシジルによる初期脱毛
一部の人はミノキシジルの使用を始めてから2週間~3週間くらいの間に初期脱毛と呼ばれる抜け毛が増える時期があるようです。
この場合、健康な髪の毛が抜けているのではなく、成長を止めてしまった弱い髪の毛が、新しく生まれてきた元気な髪の毛に押し出されて抜けているという現象ですので、心配する必要はありません。
こうした初期脱毛の時期に怖くなってミノキシジルの使用を止めてしまうと、さらに抜け毛が増える可能性が高いため、使いだしたら最低でも4ヶ月は使い続けるようにしましょう。
ミノキシジルの注意点
ミノキシジルは、もうひとつのAGA治療薬フィナステリドと違い、副作用が多く報告されていることでも知られています。
ただ、そうしたミノキシジルの副作用は個人輸入などで手軽にミノキシジルを入手できるため、自己判断で間違った使い方をしてしまったために起こったものがほとんどのようです。
発毛するという効果もそうですが、個人輸入するものは価格が安いため継続しやすいという事情から、ミノキシジルを個人輸入で購入する人が多いようです。
リアップの治験に関わった徳島大学の武田克之名誉教授によれば、日本人の体質には副作用も考慮して1%が最良だと言うことのようです。
リアップにも5%が出ましたが、海外のミノキシジルは濃度が濃いものが多く、効果も高いのですが、副作用も出やすいという側面がありますので、健康面を考慮するとAGA専門の医療機関に診察してもらって高濃度のミノキシジルが使えるかどうか判断してもらった方が懸命でしょう。
とは言え、ミノキシジルの副作用は必ず出るものではなく、体質によりますので、個人輸入でも副作用なく発毛に成功した人が多いのも事実です。
当サイトでは、健康面を考慮して個人輸入は推奨しませんが、どうしてもという場合は自己責任で行なって下さい。
ミノキシジルにかかる費用
ミノキシジルは、健康保険が適用されない全額自己負担の自由診療になります。
AGAは進行性の病気なのですが、厚生労働省が加齢とともに進行していく薄毛と同じ区分にしてしまっているため、保険適用外の扱いである全額自己負担の自由診療となっています。
全額自己負担となると、通常の保険適用の薬よりも高額になってきますが、ミノキシジルにかかる費用は1ヶ月あたり約5,000円~7,000円程度になっています。
自由診療は、医療機関によって自由に価格が決められるため、どこに行くかによって価格が変わってきます。
また、この価格には診療費用や初診料が入っていないミノキシジルだけの参考価格なので、実際に診察を受けて処方してもらう際には事前に確認しておいた方がいいでしょう。
ちなみに、ミノキシジルは医療費控除が受けられる場合と受けられない場合があるようです。
基本的には処方箋があれば医療費控除の対象となるのですが、医療機関の判断次第では対象外として扱われる可能性もありますので、こちらも事前に確認するようにしましょう。
ミノキシジルが効果のない人や使用に注意が必要な人
発毛効果が認められているミノキシジルですが、効果が出ない人や使用するのに注意が必要な人がいます。
それぞれ見て行きましょう。
薄毛の原因がAGAではない人に効果はない
日本人の成人男性のうち1,260万人がAGAだと言われていますが、AGAが原因ではない薄毛の人もかなりの数いると言われています。
AGAの人も、そうではない人も含めると、薄毛に悩む人は日本人の成人男性の3人に1人もいるのだそうです。
男性の薄毛の原因は、ほとんどAGAだと言われているので、薄毛になると自分もAGAだと思いこむ人が多いようですが、薄毛の原因は専門の医療機関で診察してもらわないとわからないのではないでしょうか。
AGAではない人がミノキシジルを使用しても、副作用だけが出て、薄毛が一向に改善しないという事態に陥りますので、まずは自分の薄毛がAGAなのかどうかを診察してもらいましょう。
生活習慣が乱れたままの人は効果が出にくい
AGAの原因は、男性ホルモンと遺伝だと言われていますが、実はそれ以外にも生活習慣や食事などがAGAを発症させることが知られています。
生活習慣と食生活が乱れたままだと、ミノキシジルやフィナステリドをどれだけ処方されて使用したとしても、効果が出にくくなるのは想像出来ますよね。
例えるなら、穴の空いたバケツに水を貯めようとするのと同じことなんです。
規則正しい生活や十分な睡眠、禁煙、栄養バランスのいい食事、適度なストレス解消など、健康になるための生活習慣に変えていくことがミノキシジルの効果を高めますし、AGAの治療にも効果を高めることになるのです。
授乳中の女性は使用禁止
ミノキシジルは、男性ホルモンなどに作用しないので女性でも使えるAGA治療薬として有名ですが、授乳中にミノキシジルを使用すると成分が母乳に混ざることがわかっています。
ミノキシジルの成分が混ざったまま母乳を赤ちゃんに与えると、健康被害が出る恐れがありますので、授乳中の女性はミノキシジルの使用が禁止されています。
ミノキシジルは頭頂部だけにしか効果を発揮しない
ミノキシジルは、発毛効果のあるAGA治療薬ですが、効果があるのは頭頂部の薄毛だけだと言われています。
AGAの症状である、生え際から後退していくM字型には効果があまり出ないようです。
それは、生え際にはAGAの原因であるジヒドロテストステロン(DHT)が他の場所よりも多く存在することと、生え際の頭皮は固くなりやすく血流が悪いため、毛細血管が死に絶え、そもそも血液が流れていかないという理由が挙げられるようです。
では、M字型の人は発毛出来ないのかと言われるとそうではなく、フィナステリドとミノキシジルを併用することで発毛が望めるようです。
フィナステリドを服用することでジヒドロテストステロン(DHT)を抑制し、ミノキシジルを使用することで血行を良くし、毛細血管を増やして行きつつ、毛母細胞を健康にしていくという治療方法です。
まとめ
発毛効果のあるAGA治療薬ミノキシジルをご紹介しました。
発毛効果はあるけれど、ジヒドロテストステロン(DHT)を抑制する効果はないので、ミノキシジル単体でのAGA治療をすることは少ないようですが、AGA治療には欠かせない治療薬となっています。
ただ、副作用も多く報告されていますので、医療機関の診察を受けてから使用することをオススメします。
また、AGAの治療は薬だけで改善することもありますが、生活習慣を見直し体質を変えていくことで初めて効果が高まる場合が多いようですので、AGA専門の医療機関でも薬を処方する前に生活習慣を見直させるところも多いようです。
AGAは遺伝だから仕方ないとあきらめて薬に頼るのではなく、健康になることでAGAを緩和していくことも併せてやっていくと、フサフサになるまでの時間も短くなるので、ミノキシジルによる即効性を求めず、じっくり治療に取り組んでいきましょう、