頭皮を叩くと育毛になる?ブラシで刺激すると逆効果になるワケとは
育毛対策や薄毛対策には、医学的に効果が証明されているものから、あやしげな噂レベルのものまで様々なものがあります。
その中のひとつに、「ブラシを使って頭皮をトントン叩くと髪の毛が生えてくる」というものがあります。
最近ではあまり見かけませんが、以前はドラマやテレビCMなどでも薄毛の人がブラシで頭皮をトントンたたくシーンを見かけることがありました。
本当にブラシで頭皮を叩くと育毛につながるのか、噂の真相をご紹介します。
この記事の目次
頭皮を叩く育毛方法は昔の俗説です
頭皮をブラシでトントン叩くと髪の毛が増えるという噂は、テレビCMから始まったと言われています。
1980年代に放送された「薬用紫電改(やくようしでんかい)」というカネボウの育毛剤のテレビCMで、杉浦直樹さんが育毛剤をつけた専用ブラシで頭皮をトントン叩くというものです。
薬用紫電改は、現在も薬用紫電改Zとして販売されているロングセラーの育毛剤ですが、当時はインパクトが強いCMとして見た人の記憶に残っていたようです。
また、志村けんさんがコントの中で紫電改のブラシを使って頭皮をトントンしていたのも、広く認知されることに一役買っていたようです。
育毛剤の薬用紫電改は、当時は育毛剤をブラシにつけて頭皮をトントンすることで成分を浸透させるとともに、頭皮を刺激することで血行を促進し、育毛につなげるとしていたようです。
人の記憶は時間が経つにつれ曖昧になっていくので、薬用紫電改のことを忘れたり、単純にブラシで頭皮をトントンするだけでも育毛につながると解釈して、噂が広がっていきました。
頭皮をトントン叩くことによるデメリットは大きい
頭皮をトントン叩くことが流行った時期には、髪の毛が増えたという人達もある程度いました。
頭皮の血行が促進されることで、育毛に効果をもたらしたのだと思います。
ただ、頭皮をトントン叩くと言っても受け取り方は千差万別で、使うブラシや叩く力などに個人差があるため、たまたま効果が出やすい条件を満たした人だけ髪の毛が増えたということでしょう。
頭皮は他の肌と比較して繊細に出来ているため、刺激にとても弱いのでブラシでトントン叩くと毛母細胞や毛乳頭細胞が傷ついたり、壊れたりする可能性が高くなります。
血行が促進されても、髪の毛の基である毛乳頭細胞や毛母細胞が正常に機能しなければ、髪の毛が増えるどころか、抜け毛が増える原因になってしまうのです。
また、頭皮を刺激しすぎると皮脂が過剰に分泌されてしまうため、毛穴の詰まりや頭皮の炎症などを引き起こす可能性も高まりますので、抜け毛が増える原因をさらに増やしてしまいます。
AGAの人は頭皮をたたくと薄毛の進行が早くなる
男性型脱毛症であるAGAを発症している人は、ブラシで頭皮をトントン叩くことで血行が促進されると、症状がさらに進行する可能性が高まります。
日本人男性の約1,000万人以上の人がAGAを発症していると言われており、進行性の病気なのでそのままにしておくと、どんどん薄毛が進行してしまいます。
AGAを発症するメカニズムは、テストステロンという男性ホルモンと還元酵素のひとつである5αリダクターゼが結びつくことで、ジヒドロテストステロン(DHT)という強力な男性ホルモンに変わることから始まります。
ジヒドロテストステロン(DHT)は、毛乳頭細胞に存在する男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)と結びつき、TGF-βという増殖抑制因子を生み出し、毛母細胞の活動を低下させてしまいます。
髪の毛は、毛母細胞が細胞分裂をすることで成長していきますので、TGF-βが生み出されると抜け毛が増えたり、新しい髪の毛が生えてこなくなったりという症状が出てきます。
頭皮をトントン叩くことで血行が促進されると、ジヒドロテストステロン(DHT)が頭皮により多く届いてしまうので、AGAの進行を早めてしまうのです。
血行促進が育毛に効果が期待できるワケ
薄毛が進行する大きな理由のひとつとして、血行が悪くなっていることが挙げられます。
髪の毛が生えてきたり、成長したりするメカニズムは、毛乳頭細胞が血液から酸素や栄養素を受け取り、毛母細胞に渡し、毛母細胞が細胞分裂を繰り返すことです。
しかし、血行が悪くなっていると毛母細胞に必要な酸素や栄養素が十分に送り届けられないので、毛母細胞の細胞分裂が十分に行なわれず、成長途中の髪の毛が抜けてしまったり、新しく生えてこなかったりするのです。
血行が促進されれば、こうした状況が回避出来ますので、育毛剤の効果の多くは血行促進になっています。
血行促進は、他の方法で行おう
育毛対策として、血行促進はとても大切な要素のひとつですが、ブラシで頭皮をトントン叩くことはデメリットが大きいためオススメできません。
タレントの森脇健児さんは、針の付いたハンマーのようなもので頭皮を叩くことで発毛できたとテレビで紹介していましたが、ほんの少数の人だけがうまくいく方法だと思います。
育毛のために血行を促進させるなら、以下の4つの方法にしましょう。
頭皮マッサージ
頭皮を柔らかくしたり、頭皮の血行を促進するために最適な方法のひとつが頭皮マッサージです。
抜け毛や薄毛が気になっているなら、頭皮マッサージは毎日行なっているかもしれません。
しかし、指に力が入りすぎていると逆に頭皮が固くなったり、毛母細胞や毛乳頭細胞がダメージを受けているかもしれません。
自分で思っているよりも弱くマッサージする方が、実は最適な力加減であることも多いようなので、優しくゆっくりマッサージすることをオススメします。
湯船に入る
最近はシャワーだけで済ませる人も多いようですが、育毛のことを考えるのであれば湯船に入るべきです。
頭皮を清潔に保つだけで良ければシャワーでも大丈夫なのですが、血行促進も大切な育毛の要素ですので湯船に入りゆったりすることで、カラダが温まり全身の血行が促進されますし、ストレスを緩和する効果もあります。
ストレスも抜け毛を増やす原因にひとつとして挙げられますので、湯船に入ることは育毛にとって一石二鳥になります。
ウォーキング
頭皮の血行促進も大切なのですが、頭皮だけ血行促進しようとしてもカラダ全体が血行不良になっていると、どれだけ頑張っても頭皮の血行は良くならないものです。
毎日30分程度でいいので歩く習慣を身につけましょう。
歩くことで脚の筋肉がポンプの役目を果たし、下に流れてきた血液を心臓のある上の方へ押し出し、血行を良くしてくれるのです。
また、ウォーキングをすることは有酸素運動ですが、有酸素運動をすると筋肉に多くの酸素を届けようとしますので、血行が促進される効果が増加するのです。
ストレッチ
ストレッチは準備運動だと思っている人が多いのですが、実は育毛にとても効果が期待できる有酸素運動のひとつです。
仕事が忙しくカラダをあまり動かさない場合は、筋肉や関節が固くなっているものです。
肩コリや首のコリ、背中のハリ、腰の痛みなども、カラダをあまり動かなさなくなってから感じる症状ではありませんか?
筋肉は血液を送り出すポンプの役目も果たしているので、筋肉が固くなっているとポンプとしてあまり機能しなくなり、血行が悪くなります。
ストレッチをすることで、筋肉を柔らかくすることが出来ますので、血行促進に効果が期待出来ます。
また、筋肉を動かし柔らかくすることで新陳代謝が活発になるのですが、髪の毛の成長も毛母細胞の細胞分裂という新陳代謝のひとつなので、ストレッチをすることで毛母細胞の細胞分裂を活性化させることにもつながります。
まとめ
管理人も一時期ブラシで頭皮をトントン叩いている時期がありました。
軽くやっているつもりでも、結構刺激が強かったのと効果をあまり感じられなかったので半年程度で止めてしまいました。
あのまま続けていれば、もしかしたら薄毛が今より進行していたのかもしれません。
血行促進は、頭皮もですが全身の方が優先順位は上だと考えていますので、この記事でご紹介した4つの血行促進の方法を継続することをオススメします。