育毛にはクエン酸が必須?5つの育毛効果と薄毛に重要なクエン酸回路
クエン酸は育毛に必要なの?
疲労回復や掃除用品として広く知られているクエン酸が、育毛にも効果が期待出来ると言われています。
一見すると無関係にも思えるクエン酸がどうして育毛に効果があるのか、どんな効果があるのかを調べてみました。
クエン酸が持っている5つの育毛効果と、クエン酸回路という育毛にとって大切な働きがあることがわかりましたので、ご紹介します。
この記事の目次
クエン酸とは
クエン酸とは、柑橘類や梅干しなどの酸っぱさの元になっている有機化合物で、食品添加物としてもよく使われています。
レモンやグレープフルーツなどの柑橘類、梅干し、酢などに多く含まれていて、疲労回復効果や健康効果が期待出来るとして、アスリートなどスポーツをする人達にはおなじみの成分です。
筋肉痛や疲労感は、疲労物質である乳酸がカラダの中に増えることで起こりますが、クエン酸は乳酸を分解する働きを持っていますので、クエン酸を摂取することでカラダの中に増えた乳酸を分解し、筋肉痛の軽減や疲労回復に効果が期待出来るのです。
クエン酸は酸味の元ですが、その酸味には唾液や胃液の分泌を促進させて食欲を増進させる効果があり夏バテ予防にも効果がありますし、クエン酸はミネラルの吸収を促進させたり、肝臓の働きをサポートする働きを持っています。
様々な働きを持っているクエン酸ですが、柑橘類にはクエン酸がもともと含まれていますので天然成分なのですが、食品添加物として使われているクエン酸はサツマイモなどのデンプンや糖をコウジカビの一種を混ぜて発酵させることで作られています。
作られたクエン酸は、清涼飲料水や加工された食べ物に添加されていたり、電気ポットや加湿器の水垢の洗浄剤としても使われているように、さまざまな効果を持つため、知らないうちに日常生活で欠かせないものになっています。
また、クエン酸は尿をアルカリ化させて尿酸をカラダの外に排出しやすくするため、痛風などの高尿酸血症の治療薬として処方されています。
クエン酸が育毛にいい理由
疲労回復にも健康にも、痛風などの治療薬としても、食品添加物としても日常的に使われているクエン酸ですが、育毛に効果が期待できる理由がちゃんとあります。
それぞれ見て行きましょう。
ミネラルの吸収を促進する
健康な髪の毛を育てるためにはミネラル類の摂取が欠かせないのですが、実はミネラル類はカラダの中に吸収されにくいという性質を持っています。
特に育毛には欠かせないと言われる亜鉛は、食物繊維が豊富な食べ物や緑黄色野菜と一緒に食べると繊維と一緒に亜鉛がカラダの外に排出されてしまったり、亜鉛の吸収率が下がると言われています。
他のミネラル類も金属という特性上、酸化されやすくカラダへの吸収率が悪いので、ミネラルが豊富に含まれている食べ物を食べたからと言って、すべてが吸収されているわけではないのです。
クエン酸にはキレート作用と呼ばれる働きがあり、ミネラルを包み込んで結合することで酸化を防ぐとともに、カラダが吸収しやすくなるのでミネラル類の吸収を促進します。
キレートとは、ギリシャ語でカニのハサミという意味で、クエン酸がミネラルをハサミのように包み込むことから、キレートと名付けられたと言われています。
血行促進効果
育毛のためには、健康な髪の毛を育てるために酸素と栄養を毛母細胞などに届けるために血行促進が大切だと良く言われますが、血行が悪くなっている時には血液がドロドロになっていることが多いものです。
食生活や喫煙、不規則な生活習慣、運動不足などによって代謝機能や筋肉などが衰えて血液がドロドロになってしまうのです。
この血液がドロドロの状態は血液のpHが酸性に傾いている状態です。
血行がいい状態とは、血液がサラサラな状態なのですが、血液のpHは弱アルカリ性になっています。
クエン酸はカラダの中に入るとアルカリ性として作用するため、血液のpHを弱アルカリ性に変えていくため、血液がサラサラになっていき、血行が促進されるのです。
また、血行が悪くなるとカラダが冷え症になり、同時に肩コリなども感じるものです。
こうした冷えや肩コリなどは、血液中にたまった乳酸が血液のpHを酸性に傾けることから発症します。
クエン酸は、血液をアルカリ性に変えるだけではなく、乳酸を分解する働きがありますので、冷えや肩コリなどを緩和する効果も期待出来ます。
抗酸化作用
抜け毛を増やす大きな原因のひとつとして、カラダの中に過剰に増えた活性酸素が挙げられます。
呼吸をすることでカラダの中に取り入れられた酸素の2%~3%程度が活性酸素になりますが、カラダの中に侵入してきたウイルスや細菌を退治するという大切な役割を持っています。
喫煙や紫外線、生活習慣などで活性酸素は過剰に増えてしまうのですが、過剰に増えた活性酸素は健康な細胞まで攻撃してしまうので、毛乳頭細胞などがダメージを受けることで抜け毛が増えたり、ヘアサイクルが乱れて新しい髪の毛が生えてこなくなったりするため、薄毛が進行してしまうのです。
過剰に増えた活性酸素は、抗酸化作用を持つ栄養素や物質によって退治され、攻撃を受けることで細胞が老化してしまうことを防ぐことが出来ます。
クエン酸には、キレート作用によってミネラル類を包み込み結合することで、シネルギスト(協作剤)と呼ばれる抗酸化作用があります。
つまり、クエン酸はカラダに吸収されにくい亜鉛などのミネラル類を吸収されやすいように包み込み結合し、血液をサラサラにして毛乳頭細胞などに酸素や栄養を行き届きやすくした上に、過剰に増えた活性酸素から毛乳頭細胞などを守る働きを持っているのです。
肝機能の向上
育毛と肝臓は一見何の関係もないように思えますが、育毛のためには大切な働きを持った臓器が肝臓なのです。
お酒を飲んだり、タバコを吸ったり、油ものを多く食べたり、甘いものを多く食べたり、食べ過ぎたり、食品添加物の多い食べ物を食べたり、抗生物質などの薬を服用することで、肝臓に負担がかかります。
短い期間ならすぐに元に戻るかもしれませんが、日常的にこうした生活を送っているのなら、肝機能が低下することによる薄毛の可能性も高いでしょう。
髪の毛の95%はタンパク質から出来ていますが、食べ物に含まれているタンパク質がそのまま髪の毛の成分になるわけではなく、消化・吸収されたあと肝臓に蓄えられてから、髪の毛の成分となるタンパク質に変換されているのです。
肝機能が低下していると、タンパク質の変換などの働きも低下しますので、髪の毛に十分なタンパク質が行き届かなくなり、抜け毛が増えたり、薄毛が進行してしまうのです。
肝臓の大きな働きのひとつに解毒作用や脂肪の分解作用がありますが、肝機能が低下していると血液の中に解毒出来なかった毒素が溜まったり、分解できなかった脂肪が悪玉コレステロールとなり、血液をドロドロの状態にして血行が悪化してしまいます。
また、育毛のために毛母細胞などを活性化させる成長因子のIGF-1を分泌させることも大切になってくるのですが、IGF-1を主に分泌している臓器が肝臓なのです。
IGF-1とはアミノ酸が結合したタンパク質で、毛母細胞に発毛指令を出すことで乱れたヘアサイクルを正常な状態に戻す働きを持っていますので、育毛には欠かせないものです。
大豆イソフラボンやカプサイシンなどが、IGF-1を増やすのに効果が高いと言われている成分ですが、肝機能が低下していると摂取しても思うようにIGF-1は増えないので、育毛に効果は期待出来ないのです。
クエン酸は、タンパク質や脂質を分解することでエネルギーを作り出すので、肝臓にもエネルギーを送り、肝臓の負担を減らすことが出来ます。
便秘の解消
あまり知られていませんが、便秘も薄毛の原因のひとつになっています。
毎日出ていると思っていても、便が固かったり、なかなか出てこなかったり、残便感があったりする隠れ便秘の人も多いようです。
便秘になると、腸の中で毒素が溜まり、肝臓に送られると同時に血液にも送られるため、血液が汚れてドロドロになって血行が悪くなってしまうのです。
毛乳頭細胞に血液が十分に行き届かなくなるばかりか、届いても毒素も一緒なので毛乳頭細胞にダメージを与えることにもなってしまいます。
便秘になると、活性酸素も大量に発生してしまうので、頭皮の肌トラブルによる抜け毛や、毛乳頭細胞が攻撃を受けることによる抜け毛が増えてしまう原因にもなります。
また、便秘になると腸内環境も悪化してしまうので、せっかく食べた食べ物をちゃんと消化・吸収出来なくなり、毛乳頭細胞や髪の毛に十分な栄養が行き届かなくなるのです。
クエン酸は、腸のぜんどう運動を活発にするため便秘の解消に効果が期待出来ますし、腸内の悪玉菌を退治することで腸内環境を整える効果もありますので、便秘による抜け毛の原因を解消し育毛に効果が期待できます。
クエン酸回路とは
出典:ウィキペディア
ここまでクエン酸による育毛効果をご紹介してきましたが、クエン酸にはクエン酸回路というさらに大切な働きがあるので、クエン酸回路についてご紹介します。
クエン酸回路とは、1937年にドイツの生化学者ハンス・クレブス博士が発見した酸素呼吸をする生物に備わっている生きていくためのエネルギーを作り出す仕組みのことです。
ハンス・クレブス博士は、クエン酸回路の発見で1953年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
クエン酸回路は、いくつか呼び名があり、クエン酸サイクル、TCA回路、TCAサイクルなどと呼ばれることが多いようです。
クエン酸回路は、人間のカラダを構成している60兆個の細胞の中にある全てのミトコンドリアの中で行なわれているエネルギーを作り出す代謝のサイクルです。
食べ物などから摂取する栄養素の中で、三大栄養素であるタンパク質、脂質、炭水化物がアミノ酸、脂肪酸、グリセロール、ブドウ糖に分解され吸収されていきます。
吸収されたアミノ酸、脂肪酸、グリセロール、ブドウ糖などは、酵素やビタミン類の働きで代謝されてエネルギーを作り出していくのですが、この代謝がクエン酸回路の働きなのです。
それぞれ見て行きましょう。
タンパク質
タンパク質は髪の毛の主要な成分ですが、他にも筋肉や骨、ホルモン、酵素などカラダを構成する主要な栄養素であり、タンパク質が分解されて出来るアミノ酸の一部が生きるために必要なエネルギー量の約12%を担っています。
アミノ酸は生きる上での安定したエネルギー源であると同時に、髪の毛を構成するためにも欠かせない栄養素なので、良質なタンパク質を摂取することは大切です。
だからといって、タンパク質だけを摂取すればいいというものでもなく、エネルギーとしてタンパク質を使う時には、ビタミンB2やビタミンB6が必要となるため、ビタミン類が不足しているとエネルギーとして使うことが出来ません。
髪の毛を健康に育てるためにも、タンパク質だけではなくビタミン類が必要になりますので、バランスのいい食事を心がけるようにしましょう。
脂質
脂質はコレステロールを増やし、太ったり、生活習慣病になったり、抜け毛の原因になるので、あまり摂取しない方がいいと思われている栄養素です。
しかし、三大栄養素に数えられているだけあってカラダにとって、エネルギーを作り出すために必要な栄養素のひとつです。
脂質は過剰に摂取してしまうことで、太ったり、生活習慣病になったり、抜け毛の原因になるのですが、脂質を摂取する量を極端に少なくしてしまうと、細胞を守る細胞膜が正常に働かなくなり、毛母細胞や毛乳頭細胞なども機能が低下して抜け毛が増えたり、血管が傷ついて血行が悪くなったりするのです。
脂質は、分解されることで脂肪酸とグリセロールなどが出来ますが、エネルギーの消費が激しい時や、低血糖の時などにエネルギーを作り出す材料として使われます。
脂肪酸は、ミトコンドリアに取り込まれたあとβ酸化により分解され、アセチルCoAを作り出し、その後クエン酸を作り出します。
アセチルCoA(アセチルコエンザイムエー)とは、クエン酸回路の出発点であり、クエン酸回路が一回転するとアセチルCoAに戻り、オキサロ酢酸というクエン酸回路の終わりにある物質と結合することで、クエン酸を作り出します。
アセチルCoAは、一回転することで役割を終えたクエン酸回路を活性化することで、再度役割を果たせるようにする働きを持った活性酢酸と言われています。
クエン酸回路を正常に動かし続けるためには、脂質は欠かせない栄養素になっています。
炭水化物
炭水化物は、米やパン、うどん、パスタなど日本人が主食にしている食べ物の主な成分で、エネルギーを作り出す元として広く知られていますが、最近では炭水化物を摂らない炭水化物ダイエットが流行っています。
しかし、炭水化物も三大栄養素のひとつですので欠かすことの出来ない栄養素になっています。
炭水化物は、分解されることで糖質と食物繊維になりますが、食物繊維は消化されにくくエネルギーとしては利用されず、クエン酸回路では糖質がエネルギーの元として利用されます。
糖質は分解されることでブドウ糖になり、クエン酸回路に取り込まれエネルギーに変換されていくのです。
ブドウ糖がクエン酸回路に取り込まれる時に酵素の力を借りるのですが、酵素の数は無制限にあるわけではないので、酵素の働きを補う補酵素のビタミンB群が不足していると、クエン酸回路にブドウ糖が取り込まれなくなります。
余ったブドウ糖は、中性脂肪になったり、乳酸になったりして、太ったり、カラダが疲れやすくなったりしてしまうのです。
ゆっくりよく噛んで食べたり、緑黄色野菜や根菜などの食物繊維が多いものと一緒に食べることで、ブドウ糖がゆっくりと作り出されるようにすると、少しづつクエン酸回路に取り込まれるので、ブドウ糖が余りにくくなります。
そうすることで、エネルギーが継続して作り出されるようになり、ブドウ糖も使われていくので太りにくくなるのです。
炭水化物は一番早くクエン酸回路に取り込まれエネルギーに変換されるので、髪の毛の主成分であるタンパク質が余計な所で消費されないためにも、適切な量を食べた方がいいのです。
クエン酸回路が育毛にいい理由
クエン酸回路が、生きていく上で必要なエネルギーを作り出してくれることをご紹介しましたが、育毛にも欠かせない理由があります。
生きていくにはクエン酸回路が作り出したエネルギーを消費していきますが、消費されたエネルギーは燃えカスとも言うべき老廃物を出してしまいます。
この老廃物は、酸性になっていてカラダの中に溜まっていくと、カラダが酸性に傾いてしまうので、血液がドロドロになって血行が悪くなったり、冷え性になったり、むくんだり、病気の原因になることもあります。
そのままでは薄毛が進行する原因である、血行不良や冷え性になってしまうんですね。
クエン酸回路が正常に働いている場合だと、酸性の老廃物をエネルギーに変換してくれ、再利用した後に水と二酸化炭素に分解し、カラダの外に排出してくれます。
クエン酸回路のこの働きで、カラダの中が弱アルカリ性に保たれ、血液もサラサラで血行も良く、冷え知らずの健康なカラダになるのです。
薄毛が進行してしまう大きな原因は、生活習慣などでカラダの中が酸性に傾き、血液がドロドロになることで血行不良になり、冷え性になることがあげられますので、クエン酸回路が正常に働いてくれることが育毛にも健康にも必要なことなのです。
クエン酸の効果的な摂取方法
クエン酸は、グレープフルーツやレモンなどの柑橘類や、梅干し、酢に多く含まれていますので、こうした食べ物を毎食食べることが望ましいです。
昔は酢の物が健康にいいと言われ、食卓に並ぶのが普通でしたが、今の食生活では難しいかもしれませんので、いつもの食事に少しだけ酢を取り入れてみるのもいいでしょう。
柑橘類の果物を食べることもいいですね。
しかし、育毛を考えた時にクエン酸を効果的に摂取する方法として、梅干しをオススメします。
「梅はその日の難のがれ」「1日1粒で医者いらず」と古来より言われているように、梅干しの健康効果については広く知られるところなのだが、なんと発毛、育毛効果が期待できるのだという。
出典:アサ芸プラス
梅干しには豊富に含まれているクエン酸の効果にプラスして、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンCも豊富に含まれているため、育毛に必要なビタミン類も同時に摂取することが出来ますし、いつでも気軽に食べることが出来ます。
また、梅干しに限らず酸っぱいものを食べるときに唾液が出ますが、唾液の中に若返りのホルモンと呼ばれる「バロチン」が含まれていて、育毛にも効果があります。
バロチンとは成長ホルモンのひとつで、カラダの中を若々しく保つ効果を持っています。
歯・骨・毛髪・粘膜・皮膚が丈夫になるもととなる成長ホルモンの一種「パロチン」の分泌による「老化防止作用」
出典:日経ウーマンオンライン
手軽にクエン酸を摂取するのに、ジュースやサプリメントを候補に考えるかもしれませんが、添加物が多く含まれている場合は避けたほうがいいでしょう。
添加物が多く含まれていると、せっかく摂取した栄養素などの吸収を阻害してしまうので、クエン酸回路が正常に働かなくなったり、必要なビタミン類やミネラル類が吸収されずに、カラダの外に排出されてしまうかもしれません。
出来るだけ、果物や梅干し、醸造酢を摂取するようにしましょう。
まとめ
クエン酸が育毛に効果が期待出来ることをご紹介しました。
抜け毛を減らし育毛をするためには、カラダを健康に保つことが先決だと考えているのですが、クエン酸回路は健康の根幹をなす働きを持っています。
記事を書く時の調べ物で「クエン酸は医者いらず」という記事をいくつか見つけたのですが、医学的根拠はありませんが心情的にはそうなのかもしれないと思いました。
アスリートの世界では、クエン酸回路から運動能力の研究が進んでいるようで、いくつかの論文や研究の成果も見受けられました。
カラダが健康になれば、優先順位の低い髪の毛にも十分な栄養が行き渡ることにもなりますし、細胞も元気になるので健康で強い髪の毛が生えてくることにもつながります。
即効性は期待出来ませんが、クエン酸を毎日摂取する習慣を身につけることで育毛に役立つのではないでしょうか。