コラーゲンが育毛や薄毛に影響あり?!美容だけじゃなかったコラーゲンのスゴイ育毛効果!
女性の美容には欠かせない成分として知名度の高いコラーゲン。
美肌になるための成分というイメージが強いコラーゲンですが、髪の毛が太くなるという噂がインターネット上ではささやかれています。
また、コラーゲン減ることによって薄毛になるという研究結果のプレスリリースもありましたので、コラーゲンと育毛や薄毛との関係性をご紹介します。
この記事の目次
コラーゲンとは
コラーゲンは、脊椎動物の骨や靭帯、腱、軟骨、真皮などを構成しているタンパク質のひとつで、カラダを構成している全タンパク質の約30%を占めています。
カラダの中のコラーゲンの内、約40%は皮膚に存在し、約10%~20%は骨や軟骨に存在し、血管や内蔵などにも存在しています。
タンパク質はカラダ全体の20%を占めるので、コラーゲンがカラダにとって重要な成分であることがわかります。
コラーゲンは、カラダの中で新陳代謝を繰り返すことで量を保とうとしますが、20代をピークに年齢を重ねるごとに新陳代謝も衰えるためコラーゲンの量が減少していき、60代になると約75%程度にまで減少してしまいます。
また、加齢や紫外線、ストレスによってコラーゲンの質が低下することが研究の結果判明しており、コラーゲンの質が低下することによって、コラーゲンが硬くなり分解されにくくなることで、変質したコラーゲンが増加します。
変質したコラーゲンが増加すると、コラーゲンの代謝が低下してしまうので、新しいコラーゲンが作られなくなり、肌のハリが失われシワやシミが増えたり、骨や関節がもろくなると言われています。
コラーゲンは約30種類もの種類があり、存在する組織によって違った働きをすることがわかっていますが、共通した特徴は組織の強度を高めたり、柔軟性をもたらしたりすることです。
代表的なコラーゲンの働きは、運動するための筋肉の力を骨などに伝えたり、衝撃や強い力から骨を守ったり、皮膚の弾力性などを高める役割を持っています。
さらに、コラーゲンに接している細胞に増殖や分化のシグナルを伝える働きも持っていることがわかっています。
コラーゲンはカラダの中で働くだけではなく、食品、医薬品、化粧品などにも応用されていて、人間の生活の中で欠かせない成分になっています。
コラーゲンで髪の毛が太くなる噂の真相
コラーゲンで髪の毛が太くなるという噂ですが、2008年に東京医科歯科大学の毛髪科学研究会が発表した研究結果に基づいているようです。
毛髪科学研究会の実験によると、1日5000mgのコラーゲンペプチドを8週間摂取した20代から50代までの女性の髪の毛が太くなったとのこと。
イタリアのミラン大学薬理学部の研究によると、 コラーゲンの摂取によって毛包の活動が活発になり、3ヶ月コラーゲンを摂取した被験者の髪の毛の直径が平均35%、最大で49%増加したとのことです。
他にもアメリカの研究機関で、1日14gのコラーゲンを2ヶ月間摂取した51人の女性の髪の毛が10%太くなったという実験結果もあるようです。
単なる迷信のような噂ではなく、ちゃんとした実験の結果をふまえた噂だったようです。
コラーゲンの育毛効果
コラーゲンには髪の毛を太くする効果があることは実験の結果で明らかになりましたが、髪の毛を生えさせたり、育毛に効果を発揮したりしないのか気になりますよね。
実は、まだコラーゲンの働きはすべてが解明されたわけではないので、さきほどご紹介した髪の毛を太くする具体的なメカニズムも明らかにはされていません。
ただ、コラーゲンの働きから育毛効果を読み解くことは出来ますので、それぞれ見て行きましょう。
保湿効果
コラーゲンには肌の保湿効果があることはご存知だと思いますが、頭皮も肌なのでコラーゲンが豊富にあると頭皮の新陳代謝が活発に行なわれるため、頭皮の血行も良くなります。
頭皮の血行が良くなり、潤いを保った状態でいられると、頭皮が健康になりますので、髪の毛が元気に成長するための土台としての機能を果たしてくれます。
増殖指令
皮膚は1枚ではなく何層もに重なり合っていますが、一番下の層の真皮は70%がコラーゲンで出来ています。
この真皮の部分に毛包があり、髪の毛の土台になっているのです。
上で紹介した保湿効果も、真皮部分のコラーゲンによってもたらされる効果ですが、「コラーゲンとは」のところでもご紹介した増殖や分化のシグナルを毛包の中にある毛乳頭細胞に出すことで髪の毛が成長したり、生えたりすることがわかっています。
コラーゲンには脱毛抑制効果もあり
育毛効果にも関係がありますが、コラーゲンには脱毛を抑制する効果があることを、東京医科歯科大学・難治疾患研究所・幹細胞医学分野の西村栄美教授らの研究グループが突き止めました。
17型コラーゲンが白髪と脱毛を抑えており、欠損すると毛包内の2種類の異なる幹細胞間での相互作用による幹細胞維持機構が破綻するため、白髪や脱毛を発症することを明らかにしました。
毛包幹細胞がTGF-βからのシグナルを受け取ることで、髪の毛を黒くしたり、脱毛を制御したりしているのですが、17型コラーゲンが不足すると、TGF-βが減少し、白髪になったり、抜け毛が増えたりするという研究結果です。
毛包間細胞に17型コラーゲンを増やすと、白髪や抜け毛などの異常はすべて回復することも突き止めたようです。
ちなみに、TGF-βはAGAの原因であるジヒドロテストステロン(DHT)がアンドロゲンレセプターと結びつくことで産生され、FGF-5という髪の毛が抜けるよう指令を出すタンパク質に抜け毛を増やすように指令を伝えます。
しかし、活性酸素や5αリダクターゼがそうであるように通常の量であればカラダに対して有効に働くものでも、過剰に増えすぎることでカラダに悪影響を与えるものですので、TGF-βも通常の量であれば髪の毛にとって必要なものなのです。
コラーゲンが減ると薄毛になる?
コラーゲンの育毛効果を考えると、コラーゲンが減少すると抜け毛が増え、薄毛が進行してしまうことが想像できると思いますが、研究結果としてコラーゲンが減ると薄毛になるということが発表されました。
東京医科歯科大学・難治疾患研究所・幹細胞医学分野の西村栄美教授らの研究グループは、アメリカの科学誌であるサイエンスに、コラーゲンが減少すると髪の毛が薄くなるという論文を発表しました。
歳をとることで毛包幹細胞においてDNAのダメージが蓄積してくると、幹細胞維持に必要な蛋白質の分解がひきおこされ、毛包幹細胞が表皮角化細胞へと分化しながら皮膚表面へと移動して落屑していくため、毛包が小さくなり消失することをはじめて示しました。
研究グループは、毛包の基になる幹細胞が歳をとると毛包に育ちにくいという現象に着目して、マウスを使って実験を行ないました。
マウスの実験では、老化した幹細胞のDNAに傷が残っていて、17型コラーゲンを分解する酵素が多く出るようになっていたことと、17型コラーゲンが減少すると、毛包が小さくなり、髪の毛が途中で成長をやめ、最後はフケや垢となって毛包がなくなることを突き止めました。
また、マウスの毛包幹細胞の17型コラーゲンの減少を抑制したら、毛包の減少や、髪の毛が抜けていくという、加齢による薄毛の進行を抑制することにも成功したそうです。
この研究結果をふまえ、17型コラーゲンの減少による薄毛対策の治療薬の開発に着手するようですが、5年~10年を目標にしているようで、完成が待ち遠しいですね。
コラーゲンを減らす原因はコレ
加齢によってコラーゲンが減ることは自然なことなので、ある意味仕方がないことですが、生活習慣でもコラーゲンが減ることがわかっています。
育毛のためには、コラーゲンを減らす生活習慣を見直した方がいいので、それぞれ見て行きましょう。
タバコ
喫煙すると抜け毛を増やすという話を聞いたことがあると思いますが、コラーゲンもかなり減ってしまいます。
それは、タバコを吸うことでカラダの中に大量に発生する活性酸素によって、コラーゲンが破壊されたり、酸化して老化させられるので、コラーゲンがかなりの量減ってしまうのです。
また、コラーゲンをカラダの中で生成するにはビタミンCが欠かせないのですが、活性酸素を除去するためにビタミンCが大量に消費されてしまいますので、新しくコラーゲンを生成することも出来なくなってしまうのです。
抜け毛や薄毛が気になっているのなら、禁煙することをオススメします。
紫外線
紫外線は肌を老化させることが知られていますが、コラーゲンも破壊されてしまいます。
また、紫外線を浴びた細胞では活性酸素が大量に発生してしまうので、喫煙したときと同様にコラーゲンが減ったり、酸化して老化させられてしまうのです。
特に頭皮は紫外線を浴びやすいので、紫外線対策は欠かせません。
糖分の過剰摂取
コラーゲンは、過剰に摂取された糖分と結合することで糖化してしまい、コラーゲンが老化してしまいます。
老化したコラーゲンは本来の働きを維持できませんので、抜け毛が増えたり、毛包の老化を加速することになってしまいます。
糖分は、砂糖を使ったお菓子以外にも、ご飯やパンなどの炭水化物なども含まれます。
健康のためにも、糖分の過剰摂取は控えましょう。
減ってしまったコラーゲンは増やせないのか
タバコや紫外線、加齢などで減ってしまったコラーゲンを元に戻したいですよね?
コラーゲンを含んだ美容が目的の商品やサプリメント、健康食品などを摂取することで減ってしまったコラーゲンが増えると思いがちですが、実はコラーゲンとしてカラダに吸収されない場合が多いようです。
コラーゲンは分子が大きく、そのままでは腸などから吸収することが出来ないため、分子が小さく吸収出来る大きさのアミノ酸とペプチドに分解されて吸収されるのです。
一度アミノ酸とペプチドに分解されてしまったコラーゲンは、ほとんどがそのまま必要な組織に吸収されて栄養として使われてしまうので、コラーゲンを摂取したからといって減ってしまったコラーゲンを元に戻せるわけではないのです。
では、一度減ってしまったコラーゲンは元に戻せないのかと言えば、そうではなく元に戻せます。
いくつか方法がありますので、それぞれ見て行きましょう。
コラーゲンペプチド
最近では研究も進み、腸から吸収されやすいように分子を小さくしたコラーゲンペプチドというものが開発されましたので、コラーゲンペプチドが配合された健康食品や美容の商品を摂取することで、コラーゲンの吸収率は上がります。
コラーゲンペプチドは、低分子コラーゲンと呼ばれることもありますが、1日5g、4週間以上継続して摂取し続けるとカラダの中でコラーゲンの合成がされやすくなることが判明しています。
コラーゲンの材料を摂取する
コラーゲンは、アミノ酸がたくさん集まって出来ているタンパク質なのですが、「プロリン」と「リジン」という2つのアミノ酸がコラーゲンの生成に欠かせないのです。
また、コラーゲンを生成するにはプロリンとリジンの他にビタミンCが必須になっています。
サプリメントで、プロリンとリジン、ビタミンCを摂取してもいいですし、食べ物から摂取してもいいでしょう。
プロリンとリジン、ビタミンCを多く含む食材は、豚肉、鶏の胸肉、高野豆腐、大豆、湯葉、牛乳、チーズ、ゼリー、マシュマロ、焼き麩、小麦製品、柑橘類などです。
プロテイン
カラダの中でコラーゲンを生成するなら、コラーゲンを摂取するより、プロテインを摂取した方がコラーゲンの生成を高めると言われています。
これは、9つある必須アミノ酸のうちコラーゲンは8個しか含まれておらず、プロテインは9つ全部含まれているため、プロテインの方がコラーゲン生成の効果が高いと考えられているからです。
プロテインもビタミンCを一緒に摂取することで、コラーゲンの生成効果を高めてくれます。
コラーゲンには副作用はないのか
コラーゲンは医薬品ではありませんので、副作用はないと考えがちですが過剰に摂取してしまうと、副作用のような症状が出る場合があります。
- 急激にコラーゲンを増やすと疱疹ができる可能性がある
- 急激にコラーゲンを増やすと肝臓の機能に疾患が発生する可能性がある
- 体質によってはアレルギー反応が発生する
- 吸収しきれなかったコラーゲンが排出される時に、他の栄養素まで一緒に排出される可能性がある
あくまで過剰に摂取した場合の話ですので、効果を期待して過剰に摂取しなければ問題はありません。
まとめ
コラーゲンと薄毛、育毛の関係をご紹介しました。
加齢によってコラーゲンが減少するのは仕方ありませんが、生活習慣でも大きく減ることがわかっていますので、生活習慣を見直すことが大切です。
その上で、減ってしまったコラーゲンを元に戻すためにあなたに合った方法でコラーゲンを摂取するなり、カラダがコラーゲンを生成するのをサポートするなりしてください。
17型コラーゲンを含んだサプリメントや育毛剤などの商品は、まだ登場していませんが研究中の薄毛治療薬を含め、近いうちに販売されるようになることでしょう。
その時までは、コラーゲンを減らしてしまう生活習慣を改め、コラーゲンの生成を促進する食べ物などを摂取して、頭皮を健康に保ち抜け毛を減らすことで、育毛対策をしていきましょう。